「高血圧」と聞くと、まず「循環器内科」が浮かぶ方もいるかもしれません。
しかし、「腎高血圧内科」を標榜する医療機関もあります。
血圧が高いとき、一体何科を受診すればよいのでしょうか。
日本における
循環器専門医は約14,532名(2018年時点)
腎臓専門医は約5,957名(2023年時点)と、
腎臓専門医のほうが圧倒的に少ない状況です。
そのため腎臓内科の受診が適している場合でも、腎臓内科で治療を受ける機会が限られています。
春日部市は腎臓診療に従事する医師が多い都市ですが、
高血圧診療を行っている腎臓専門医の数は十分とはいえません。
目次
1. 高血圧は何科にかかればいいのか?
高血圧を診てもらう場合、以下の診療科が候補になります。
- 腎臓内科(腎高血圧内科):塩分の過多やむくみがある場合、または腎臓の異常が関与する高血圧を診療
- 循環器内科:心臓や血管の異常による高血圧を診療
- 内科:特定の専門領域はなく、担当医師による高血圧の治療を実施
専門や得意分野は異なりますが、どの診療科でも治療は可能です。
一般的な高血圧症の診療の流れです。
1. 問診・診察・検査
患者の生活習慣、家族歴、既往歴を確認し、血圧を測定します。
必要に応じて血液検査、尿検査、心電図などを行い、
**二次性高血圧(腎疾患、内分泌疾患などが原因の高血圧)**の可能性がないか評価します。
2. 療養計画書の策定
患者の状態に応じた療養計画書を作成し、目標血圧を設定します。
75歳以上の一般的な目標は140/90 mmHg未満ですが、
75歳未満の方や糖尿病や腎疾患がある場合は130/80 mmHg未満を目指します。
3. 生活習慣の改善指導
減塩、適度な運動、体重管理、禁煙・節酒を含めた指導を行い、一定期間の経過を観察します。
4. 薬物治療の開始
生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合、
Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬などを処方し、継続的に血圧管理を行います。
5. 定期的なフォローアップ
定期的に血圧を測定し、治療の効果を確認します。
必要に応じて療養計画を見直し、合併症の予防に努めます。
2. 腎臓と高血圧の関係
腎臓は「血圧の調整役」として重要な働きをしています。
具体的には以下のようなメカニズムで血圧に影響を与えます。
- 体内の水分とナトリウム(塩分)の排泄量を調整する
- 血圧をあげるホルモンであるレニンを分泌して、血圧をコントロールする。
腎臓の血管が固くなったり、狭くなったりするとホルモンのバランスが崩れて血圧が高くなることがあります。
また腎機能の低下で塩分の調整が十分にできなくなり、体に塩分がたまると血圧が上がりやすくなります。
3. 高血圧で行われる検査
- 血液・尿検査(腎機能や電解質異常の評価)
- レニン・アルドステロン測定(ホルモンバランスのチェック)
- 腎動脈エコー・CT・MRI(血管の異常を確認)
このうちレニン・アルドステロンの検査は、血圧の薬によっては値が変化してしまうことがあり、
治療開始時点での評価が望ましいです。
ARB,ACE-Iなどのお薬を内服している場合は、いったん別の薬に変更してから検査を行う必要があります。
4. 腎臓内科の受診が向いている方
- むくみがある
- 尿検査で異常を指摘されたことがある
- 降圧薬を飲んでも血圧が下がらない
- 血圧が130/80mmHg以上ある
- 急に血圧が上がった(特に若い人や中年で急激に悪化した場合)
- 家族で腎臓の悪い人や透析を受けている人がいる
5. まとめ
高血圧の治療には専門的な診療科の選択が重要です。
自分の症状や血圧の状態を正しく理解し、適切な医療機関を受診することで、より効果的な治療につながります。
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