糖尿病は、放っておくと全身にさまざまな合併症を引き起こす可能性のある慢性疾患です。しかし、正しく診断・管理し、継続して治療に取り組むことで、健康な人と変わらない日常生活を送ることも十分可能です。
当院では、生活習慣の改善からお薬や注射治療まで、患者さん一人ひとりに合わせた糖尿病治療を行っています。自己管理を支援するために、血糖測定機器「リブレ」の活用や、新しい注射薬「マンジャロ」にも対応しています。
■ 糖尿病とはどのような病気か
糖尿病は、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が慢性的に高くなる病気です。大きく分けて、以下のようなタイプがあります。
- 1型糖尿病: インスリンの分泌がほとんどなくなるタイプで、自己免疫反応などが原因です。小児〜若年に多く、インスリン治療が必須です。
- 2型糖尿病: 日本人の糖尿病の9割以上がこのタイプで、遺伝的な体質と生活習慣(食事・運動不足・肥満など)が合わさって原因になります。
- 妊娠糖尿病: 妊娠中に初めて見つかる糖代謝異常で、母体と胎児の安全のため早期発見と適切な管理が必要です。
初期には自覚症状がほとんどなく、健康診断で指摘されて初めて気づく方も多くいらっしゃいます。放置すると、網膜症・腎症・神経障害などの合併症、さらに心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まります。
■ 治療の意義:早期からの管理で未来が変わる
糖尿病治療の最大の目的は、合併症の発症・進行を防ぎ、健康な人と変わらない生活をできるだけ長く続けることです。
特に2型糖尿病では、初期の段階から生活習慣の見直しや適切な治療を行うことで、将来的な合併症のリスクを大幅に減らすことが可能です。
治療は「血糖を下げること」だけが目的ではありません。血圧、コレステロール、体重の管理、禁煙支援、うつや認知症の予防なども含めて、“全身の健康を保つ”ことが糖尿病治療の本質です。
■ 血糖測定の方法:数値は“見える化”が大切
糖尿病治療では、血糖の「日内変動」を知ることがとても重要です。当院では、以下のような方法に対応しています。
- 自己血糖測定(SMBG): 自宅で指先から少量の血液を採取し、血糖値を測定します。インスリン治療中の方などでは必須の方法です。
- 持続血糖測定器(リブレ): 皮膚に貼る小型センサーを使い、1日中の血糖の変動をリアルタイムに把握できる最新機器です。痛みなく測定でき、「血糖の上下が激しい方」「夜間の低血糖が心配な方」に特に有用です。
血糖値を“見える化”することで、患者さん自身が体調や生活と数値の関係を理解しやすくなり、治療への意欲にもつながります。
■ 内服・注射治療について
2型糖尿病の治療は、まず生活習慣の見直しから始めますが、十分な効果が得られない場合はお薬の併用が必要です。
【内服薬】
- ビグアナイド系: インスリンの効きを良くし、血糖を下げる代表的な薬(例:メトホルミン)
- SGLT2阻害薬: 尿から余分な糖を排出し、体重減少や心血管リスク低下にも効果があります。
- DPP-4阻害薬: 食後血糖の上昇を穏やかにします。
【注射治療】
- インスリン: 1型糖尿病や2型の進行例で使用します。
- GLP-1受容体作動薬(マンジャロなど): 食欲抑制や体重減少にも効果があり、週1回の注射で管理できます。当院では最新の「マンジャロ(チルゼパチド)」の導入にも対応しています。
■ 当院の特徴:マンジャロ・リブレにも対応
当院では、以下のような先進的な糖尿病管理にも対応しています。
- リブレなどの持続血糖測定器(CGM)の導入とサポート
- マンジャロなどの注射薬(GLP-1系)の処方と生活指導
- 患者さんの生活背景やご希望に合わせた柔軟な治療設計
- 定期的な合併症チェックと他科との連携(眼科、腎機能管理など)
- 管理栄養士による栄養・食事指導の対応(希望制)
■ 最後に
糖尿病は一生つきあう病気ではありますが、「きちんと向き合えば怖くない病気」です。
当院では、患者さんが自分の病気を理解し、前向きに治療を続けられるよう、スタッフ一同サポートいたします。
血糖値やHbA1cが気になる方、注射やリブレに興味がある方、健診で「要再検査」と言われた方など、お気軽にご相談ください。